東京都財政援助団体等監査結果について(13/21)

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平成25年度~24年度補助金に対する東京都の財政援助団体等監査(平成26年度実施監査)では、公益財団法人に対し、以下のような指摘がなされています。

・公益財団法人A

(指摘事項)規定の整備及び資金運用手続を適正に行うべきもの

公益財団法人Aの基本財産のうち30億円については、公益財団法人A資金運用規程(平成22年規程第17号。以下「規程」という。)第3条第1項に基づき、代表理事が資金の運用責任者として円建て外債(いわゆる仕組債)、国債等によって運用している。資金運用に係る手続について、規程第7条第1項は、資金運用に当たって、関係金融商品を調査し、関係役員等との協議及び代表理事の決裁を求め、また、同条第2項は、金融商品が満期となり、引き続き同種の金融商品で運用を行う場合についても第1項に準じて事務処理を行わなければならないとしている。また、公益財団法人A文書管理規程(平成22年規程第 16号)第8条は、起案は文書で行うとし、同第9条は、決裁は原則として押印によるとしている。ところで、平成25年度において、円建て外債のうち1本(額面金額5億円)が証券会社から満期前に償還され国債に買い替えているため、これらの手続を見たところ、文書による稟議は行われておらず、一連の行為を全て代表理事が口頭で専決し、各理事に対しては電話により説明したほか、買い替え後に手紙を送付したとしている。稟議により各理事に協議せずに買い替えを行ったことについて、財団は、規程第7条第3項の条文を適用した緊急的な対応であったと説明する。しかしながら、証券会社等は、早期償還の決定から償還まで一定の日数を設けており、また、償還されることについては口座への入金受入れ等の手続を急ぐ必要があっても、どのような金融商品で運用するかについてまで、通常の手続を省略するほどの緊急性があるとはいえない。また、理事会において金融商品の運用状況(運用中の商品の利率等)が報告されていることから、より重要である5億円の金融商品の買い替えについても、理事会等にて報告を行う必要がある。さらに、電話及び事後送付の手紙は、稟議及び意思決定を経たものではないことから、定款第37条にある理事会に報告すべき事項の通知にも該当しない上、定款第36条で要求する理事全員の書面又は電磁的記録による同意の意思表示も求めていなかった。なお、規程第7条第3項は、速やかに適切な措置を講ずることを求めているが、稟議を省略することと同義ではない。通常、法人においては、コーポレート・ガバナンス(企業統治)を達成するために、緊急事態において講じた措置については、事後稟議を行うことを定めている。したがって、公益財団法人Aは、資金運用手続において、稟議により関係役員等に協議を行った上で代表理事の決裁を受ける必要があったところ、これを行っていなかったのは適正でない。また、緊急事態の場合に講じた措置について、事後稟議を行う旨の規定、理事会等において報告する義務に係る規定を整備する必要がある。財団は、規定の整備及び資金運用手続を適正に行われたい。

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